【プロが解説】エアコンの異音・振動の原因とすぐできる対処法
見逃しがちな「小さなサイン」が大きな故障を防ぐ鍵
止まってからでは遅いんです
実際の機器寿命である「物理的な寿命」
エアコンから聞こえる異音や、これまでなかった振動は、単なる些細な変化ではありません。それは、日々稼働している機器が発している重要な不具合のサインであり、いわばエアコンからの「助けを求める声」です。このサインを「まだ動くから大丈夫」と見過ごしてしまうと、内部では静かに問題が進行し、性能の低下による電気代の増加はもちろん、最終的には高額な修理費用がかかる重大な故障へとつながる可能性があります。修理業者の手配や部品の取り寄せで数日間営業が制限されるなど、ビジネスにおける機会損失は計り知れません。静かな秋のうちに聞こえる小さなサインに耳を傾け、プロによる点検を行うことは、来たる冬を快適に過ごすためだけでなく、来年の夏をも見据えた、賢明なリスク管理と言えるでしょう。
【室内機】から聞こえる主な異音と原因
室内機の異音は、比較的軽微な問題から専門的な修理が必要なものまで様々です。
「カタカタ」「ガタガタ」
フィルターの緩み、前面パネルの浮き、内部部品の緩み
「ポコポコ」「ポンポン」
ドレンホース(排水管)から外気が侵入している音。多くは正常ですが、水の流れが悪いサインの場合も。
「ミシッ」「ピシッ」
温度変化でプラスチック部品が膨張・収縮する音。多くは問題ありません。
「キュルキュル」「キーキー」
ファンモーターの軸受けの劣化や潤滑油切れ。放置するとファンが停止する可能性あり。
「ブーン」という低い唸り
ファンモーターの異常、または内部の電気部品の不具合。
「シャー」「シュー」
冷媒ガスが流れる音。通常は聞こえますが、以前より明らかに音が大きい場合はガス漏れの可能性も。
【室外機】から聞こえる主な異音と原因
室外機からの異音は、エアコンの心臓部であるコンプレッサー(圧縮機)の不具合を示唆している場合が多く、緊急性が高いケースが少なくありません。
「ガガガッ」「ゴゴゴッ」
【要注意】コンプレッサー内部の故障や劣化。 最も深刻な故障の一つです。
「ブーン」という大きな唸り
コンプレッサーの動作音。ただし、異常に大きい、または鳴りやまない場合は故障の前兆。
「カラカラ」「カンカン」
ファンにゴミや異物が接触している、または部品の緩みや破損。
「キーン」という甲高い音
コンプレッサーが高負荷状態になっているサイン。電気系統の異常の可能性も。
振動についての確認
天井や壁がビリビリと共振している場合、設置ボルトの緩みや、内部の送風ファンのバランスが崩れている可能性があります。設置当初より明らかに揺れが大きくなった場合、コンプレッサーやファンの異常、または固定台の劣化が考えられます。放置すると騒音問題や、配管の破損につながる恐れがあります。
迷わず「業務用エアコン」へ相談する
セルフチェックで原因が特定できない、あるいは改善しない場合は、内部のモーターの劣化、コンプレッサーの不具合、冷媒ガスの問題といった、専門的な知識と技術がなければ解決できない問題が考えられます。異常を放置することは、病気の初期症状を無視するのと同じです。 最初は小さな部品の交換で済んだはずの問題が、放置することで関連部品を次々と巻き込み、最終的にはエアコンの心臓部であるコンプレッサーの交換など、数十万円単位の高額な修理が必要になることも少なくありません。そうなれば、修理費用だけでなく、エアコンが使えない間の営業機会の損失や、従業員・顧客からの信頼低下にも繋がります。東京のオフィスや店舗が暖房を本格的に使い始めるこの時期、小さなサインを見逃さず、「おかしいな」と感じたその時点でお早めにプロにご相談いただくことが、結果的に最も確実で、コストパフォーマンスの高い選択となるのです。
結論
エアコンから発せられる普段と違う異音や振動は、決して軽視してはならない機器からの重要なSOSサインです。それらを放置することは、性能低下による電気代の増加を招くだけでなく、最終的にはコンプレッサーの故障といった、高額な修理費用と事業の停止にもつながりかねない重大なリスクを育てることに他なりません。フィルターの確認など、ご自身でできる簡単なチェックは有効ですが、多くの場合、その原因は内部の専門的な問題にあります。「おかしいな」と感じたら、決して自己判断で放置せず、まずはご相談ください。

